休業と補償はセットのはず ドイツの場合

営業を続けている店が直接嫌がらせをされるケースも増え、メディアでも話題になっています。夜間など店が開いていない時間帯にシャッターに誹謗中傷の紙が貼りつけられるなどこの手の話には枚挙にいとまがありません。

しかし国は飲食店などに対して休業を要請はしているものの強制はしていないことから、「営業を続けていくか」という最終的な判断は経営者に委ねられるべきです。休業に応じたくても、営業をしていかなければ資金面で立ち行かなくなってしまう場合もあります。

そして、言うまでもなくコロナのこのご時世では「資金繰りに困る」ことは経営者の自己責任だとは言えません。国が店などに対して「要請」という形ではあれ、休業をすることを期待するのなら、補償金が早く行き渡るようにする必要がありました。

たとえばドイツでは、従業員10人以下の事業所には3カ月で最大約180万円、従業員5人以下の事業所には最大約107万円を給付しており既に給付金を受け取っている人も多くいます。

またこちらは新型コロナウイルスの蔓延前からある既存の制度ですが、ドイツには短時間労働給付金制度というものがあり、これは雇用者が労働者に対して、①「労働時間の短縮」を求め、②労働時間減少による給与減少分の一部について政府が補償する、というものです。

従来の制度では「従業員数の3分の1に労働時間短縮を適用する場合」を適用の条件としていましたが、コロナ禍においては「従業員の10%に適用する場合」に引き下げて適用しました。

ドイツの連邦雇用庁が、労働時間の短縮によって生じる賃金喪失分の60%(子供がいる場合は67%)を手当し、社会保険も同庁が全額補償をし、結果的に倒産や解雇を防ぐことができるわけです。ニッポンの「コロナ自警団」は営業する市民に嫌がらせをする前に政府に対して早急な補償を強く求める気骨さがほしいところです。

友達同士でも監視⁉

批判の矛先は有名人を含む個人にも向けられています。NHKのアナウンサーである桑子真帆さんがある男性とデートをしたところ、それを写真週刊誌に撮られてしまいました。平時であれば「熱愛発覚」という報道で済んだところですが、自粛ムードが広がっている今は「デート中に桑子アナがマスクをしていなかったこと」にスポットが当たってしまい非難の対象となりました(※3)

※3 NHK桑子アナ、コロナ自粛下で“ノーマスク”デート&お泊り熱愛が波紋…処遇問題に発展か

個人的には、いくらテレビに出ているとはいえ、会社員である人のプライベートを本人の了解なしに撮ることは問題だと思います。

また法律でマスク着用が義務付けられているドイツやオーストリアとは違い、日本でのマスク着用は義務ではなく、あくまでも呼びかけのうえ行われているものです。ところが同調圧力が強い日本では、テレビに出ている人がマスクなしで恋人と道を歩いていた、というだけで非難されてしまいます。