「3密でも従わざるを得ない状況」

最後は「意識の壁」だ。

「当社社員がテレワークになっても、ビジネスパートナーのテレワークが進められないと意味がないと感じる」(男性35~39歳・情報通信)
「居室自体が3密に当てはまるにも関わらず、緊急事態宣言後も通常勤務体制を強いられている。社会的にはおかしいと思いつつも、会社方針に従わざるを得ない状況」(男性30~34歳・製造)

ただ、工場や研究所、店舗など、「在宅勤務」が実施できない職場もある(前ページ・Q4‐2)。

これについてONE JAPANは「在宅勤務が実施しづらい職場でも、出社時間の柔軟な変更や時差通勤の実施、ハンコに象徴される社内承認システムや手順の変更、社内会議や取引先との商談のオンライン化など、変えられることから直ちに取り組むべきです。企業には体制構築の強化を求めます」と述べている。

約7割は在宅勤務で仕事に支障がない

次は、「在宅勤務」の賛否について見ていきたい。

アンケート結果では、賛成が96.8%と圧倒的だった(Q5)。その理由として、感染リスクを減らすこと以外に、「通勤時間の削減により仕事時間をより多く確保できる」「無駄な会議が減り、業務効率化に繋がる」など仕事の効率化を理由にあげる人も多かった(Q5‐1)。

「在宅勤務・テレワーク・リモートワーク」制度に賛成しますか?

自由回答ではこんな声があった。

「社長・役員が参加する会議がオンライン化され、資料もペーパレスとなり準備負荷がだいぶ下がった」(男性40歳以上・情報通信)
「無駄な会議の削減、会議時間の短縮により企画書作成など集中できる時間が確保できる」(女性40歳以上・金融保険)
「以前はメールでの報告連絡が多かったが、今はオンラインでの朝礼があるため会話でのコミュニケーションが増えた」(女性40歳以上・製造)

一方で、仕事の生産性が「上がった」「とても上がった」という回答はあわせて32.4%で、「下がった」「とても下がった」という回答の30.7%と大差ない(Q6)。仕事の生産性が上がったという32.4%と「変わらない」の37.4%を合算すれば、約7割は在宅勤務で仕事に支障がないと考えていることわかる。

残りの約3割は仕事の生産性が下がったと感じているが、それでも在宅勤務に賛成していることが分かる。この層は「インフラの壁」がなくなれば生産性が向上する可能性もあるだろう。

少数ではあるが「賛成しない」と回答した人は「職場の一体感がなくなる」「メンバーの異変などに気付きにくくなる」「誤解や勘違いを避ける」などコミュニケーションの負担を理由にあげている(Q5‐2)。

「賛成しない」と回答された方に伺います。あてはまるものを、すべて選んでください。

自由回答を見ても「雑談ができない」「立ち話で些細な質問ができない」「話す人がいなくて気分転換ができにくい」などの声が多く、「仕事とプライベートの境目がわからなくなる」「メリハリがない」など公私の切り分けに苦労しているようだ。

なおマネジメント層(管理職)からは、「在宅勤務などで社員の動きが見えにくくなるため、評価が難しい」(男性35~39歳・商社)という声があった。