大企業社員の約9割が「在宅勤務」を実施
「新型コロナウイルスにより在宅勤務・テレワーク・リモートワークは推奨されたか」という質問に対し、「強く推奨された」という回答は71.2%だった(Q2)。「推奨された」の18.3%と合わせると89.5%の大企業社員に在宅勤務が推奨されたことになる。そのうち政府の緊急事態宣言が出た後、ようやく在宅勤務に踏みきった割合は19.5%だった(Q2‐1)。「推奨されたが実施できていない」という回答は5.5%(Q3)で、準備が整っていない大企業があることも分かった。
「在宅勤務制度はもともとあった」と回答している人が91.7%(Q3)であることから、在宅勤務はほとんどの大企業で制度として設けられていることが分かる。しかし「以前から利用」が27.1%、「過去に利用」が18.3%とこれまで利用したことがある人は45.4%で、「今回はじめて利用」の44.7%と大差ない(Q4‐1)。
在宅勤務を阻む3つの壁
なぜ制度として設けられているのに、大企業の在宅勤務は利用されてこなかったのか。
アンケート結果から、在宅勤務には「インフラ」「ハンコ」「意識」という3つの壁が立ちはだかっていることが分かった(Q4‐2)。
「インフラの壁」については、自由回答でこんな声があった。
「在宅勤務トライを行ったが、社内のITツールやインフラが整っておらず、社員全員の在宅が不可能ということが判明。車通勤者は原則、在社勤務となった」(25~29歳男性・製造)
「テレワークのシステムがパンク状態。できる仕事に大きな制限」(35~39歳男性・運輸)
「ハンコの壁」については、こうした声があった。
「ハンコを押すために出社しなければならない」(男性30~34歳・製造)
「書類に押印のない各種申請を認めないのがルールで、経理の領収書承認取得、人事の登録資料承認取得のために会社に出勤している」(男性40歳以上・製造)
安倍晋三首相は4月22日、民間の企業活動について「紙や押印を前提とした慣行を改めるように」と指示している。「人との接触8割減」を実現するには、オンラインで契約などができる電子システムの構築が早急に望まれるだろう。