【歯科医A】ある歯科医から聞いた笑い話だけど、その人は国家試験の会場で偏差値が低いことで有名な某私大の歯科学生から、「10万円でカンニングさせてくれないか」と持ちかけられた。もちろん断ったみたいだけど(笑)。

なんでもいいから治療しないと金にならない

【歯科医B】若い歯科医だと年収300万円も珍しくないですよね。歯科医の収入は出来高制なので、なにか歯に手を加えないことにはお金が入ってこない。特に問題のない治療済みの歯を、あたかも問題があるように見せかけて、詰め物や被せ物を取ってまた付ける。これは詐欺の常套手段です。

【歯科医A】大義名分を付けて、ただ削ったり被せたりしたいだけなんじゃないかな(笑)。

【歯科医B】実際に銀歯との間にできた隙間から菌が侵入してなかで虫歯が進行しているケースもあります。でもそれって、そもそも銀歯の形が患者に合っていないから起きる。銀歯は基本的に歯科技工士が造るものですが、金がもったいないからといって自分で粗悪品を造っている歯科医もいる。「セラミックに変えておきましょう」と患者から金歯を回収して業者に売っていることもある。

さらにいうとセラミックに変えるのは自由診療なので、歯科医としては金にもなって一石二鳥ですね。ある意味、この自由診療があるからこそ歯科医がなんとか食えているという側面もありますが。自由診療の代表格といえばやはり、インプラントと審美歯科でしょうか。

歯医者は保険診療だけじゃ食っていけない

【歯科医C】インプラント治療の黎明期は本当にひどかったようですね。日本歯科医学会の調査によれば、インプラントを行う歯科医の6割が患者とのトラブルを経験したことがあるとされています。本音をいうとインプラントの手術は非常に難しい。でもこれって、法律的には歯科医であれば誰でも行っていい治療になっています。インプラントに関する講習は、実際にインプラントを製造している業者が行っていることもありますが、それを受けただけで治療してしまっている歯科医もいるということです。

【歯科医A】たしかにインプラント治療の黎明期は、いま考えると恐ろしい時代だったね。これは聞いた話だけど、当時都内でインプラント治療をやりまくって荒稼ぎした男性歯科医がいた。その歯科医は治療をしている時点で後々、患者の歯に問題が生じることをわかりながらやっていたんだ。クレームや訴訟から逃げるために、レントゲンなどの資料を全部河原で燃やして、沖縄に逃げたって聞いたよ(笑)。

【歯科医B】インプラント1本で20万~30万円はしますからね。歯を極力残しながら──という治療方針ではお金にならない。抜いてインプラントにしちゃうのが利益率で考えたらダントツですからね。

【歯科医C】稼げないからといって、技術もないのに難しいインプラント治療をすれば、トラブルが起こるのは当然のことです。それで生まれた合併症は保険診療になってしまう。つまり国民の税金で「できない歯科医」のミスをカバーしていることになるんです。

【歯科医A】自分でいうのもなんだけど、医者と歯科医の間には大きなヒエラルキーの差ができてしまった。収入にも大きな開きがある。ある歯科医がいっていたことが妙にいまでも頭に残っているんだ。「歯科医は医者じゃなくて大工だ」ってそいつはいっていたよ。

【歯科医B】でもそれは私たちも意識を改めないといけませんね。生活において口腔内の健康はとても大事なこと。歯医者は「壊れたら治す」だけから「壊れないように見守る」立場になることが一番大事だと思います。

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