歯医者がコンビニよりも多くなった呆れた理由

【歯科医A】「歯医者の数はコンビニよりも多い」。当事者としては恥ずかしい限りだけど、一般人の間でも周知の事実というくらい当たり前の話になってしまったよね。実際に歯科医の数は10万人を超えている。それだけ忙しいのかといわれると、まったくもってそういうことではない。

10万人を超える歯科医過剰

【歯科医B】歯科医は増えているのに、治療する歯の数は減っていますからね。1人平均DMF歯数というものを見れば一目瞭然です。う蝕(歯の実質欠損)数は全年代で減少傾向にある。これがどういうことだかわかりますよね。

全年代で治療する歯が減っている

【歯科医C】少ないパイを大量の歯医者で奪い合うことになるのは必至ですよね。そうなると、目先の利益に惑わされて正常な判断ができなくなる歯科医も出てきます。悲しいけど、これが現実です。

【歯科医A】ではなぜ歯医者はここまで増殖してしまったのか。これは順を追って話していくとわかりやすい。非常に単純な仕組みだね。正直いうと、歯医者というのは現在食えない職業と認めてもいい。でもひと昔前は年収5000万円の歯科医なんてザラだった。かくいう私も好きな高級車を気軽に買えるくらいには稼いでいた。

【歯科医B】銀座のクラブで毎晩のように派手に遊びまわる歯科医グループなど、そういう人たちがたくさんいましたよね。合コンも頻繁にやって、とにかく女遊びに明け暮れる人が多かった印象です。金をばらまいていました。すると、お役人さんが歯医者に目を付け始めて、診療報酬は上がらない、予算は下りないで、歯科医たちの立場が弱くなっていきました。

【歯科医C】お金を持っている医者になびく女性というのは、やはり多いと思います。そういう女性たちが歯科医たちと結婚していくケースが多かった。

【歯科医A】すると当然、自分の子供も歯医者にしたいから、歯科大学が激増し、それにともない歯科医師国家試験の合格者がどんどん増えていってしまいました。当時からそのことを懸念している人も多かった。その結果が、歯科医10万人突破ということ。日本歯科医師連盟が多額の政治献金を繰り返した理由は、歯科診療費を少しでも上げてほしかったから。とにかく今の歯医者は金にならない。

【歯科医B】歯科学生の質の低下も目立ってきましたね。歯科医になっても稼げないのなら高い金を払って歯科大学に子どもを入れる意味がないと親が考え始めた。私大の歯学部などは大幅な学費減額に踏み切っているところもあります。

【歯科医C】大手予備校のデータによれば、私大の半数以上が偏差値50を切っている年もあります。