図3の歯科医師数、図4の従事先施設を見ると、現在は男性が7割超を占め、従事先は診療所の開設者または法人の代表者、つまり「開業医」が最多となっている。松谷氏は、「歯科医師の女性比率は年々高まっており、今後男女差はさらに縮まっていくと考えられます。そして、女性の場合は開業するケースが少なく、歯科医師同士で結婚し、夫が開業した医院で働く場合が多いです。よって、開業医の割合は今後減っていくと考えられます」と言う。

歯科医師数/従事先施設

今後は歯科衛生士が稼ぐ時代に!

年収についてはどうなのか。図5を見ると、医師と歯科医師の年収は2倍近くも差がついている。

医療職種別年収(フルタイム)/医療職種別時給(パートタイム)

「医師と歯科医師の給与差は、残念ながら10年後もあまり変わらないと考えられますが、歯科衛生士の給与水準は間違いなく上がるはずです。これは歯科衛生士が中心的に行う予防歯科が重視されるからですが、このことは患者さん、医院双方にとってよいことです」(同)

歯周病の患者は年々増えており、国も歯周病治療に診療報酬の点数を大きく配分している。それによって歯科衛生士を雇いたいと考える歯科医院が増えており、時給も上がってきているのだそうだ。今後10年ぐらいかけて、歯科衛生士の労働条件はどんどん上昇していくという。歯科医師は、歯周病の勉強は行っているが、歯周病治療・予防歯科自体は歯科衛生士が主に行うため、より必要性が高まると予測される。

従事先別年収/年齢・性別年収/利益率

図8の年齢・性別年収について、30代以降、女性歯科医師の年収が男性歯科医師よりも低くなっているのは、結婚・出産に伴い非常勤勤務の割合が高くなっていく(勤務時間の相対的な減少)ためだと松谷氏は分析する。