歯磨きのタイミングは食後30分過ぎてから

「食直後」の歯磨きについては専門家でも意見が分かれるが、少なくとも酸が強いものの後は、歯磨きで傷つけないほうがいいだろう。丁寧に歯を扱うなら食直後はうがいで口をゆすぎ、食後30分経過して再石灰化が進み始めたときに歯磨きを。

特に就寝前は5~10分間、しっかりと磨こう。就寝中は唾液の分泌量が低下するため細菌が増えやすいが、就寝前の歯磨きで抑制できる。また最低でも一日一回、丁寧に磨いて歯垢を取り除くと、再び細菌が増殖するのに24時間かかることがわかっている。

歯磨き粉はフッ素が配合されたものを使いたい。フッ素は歯から溶け出したカルシウムやリンの再沈着を促進し、歯の質を強く、酸に溶けにくくする。国内ではフッ素濃度1500ppmを上限とした歯磨き粉の販売が認められている。

できるだけ高濃度のフッ素入り歯磨き粉を選ぶことをお勧めするが、磨くときには歯磨き粉のつけすぎにご用心。

「歯磨き粉に含まれる香味剤や発泡剤が磨いたような気持ちにさせてしまい、磨き残しの原因になります。歯ブラシでこすらなければ歯垢は落ちないことを忘れずに」(小川原医師)

またフッ素は食品にも含まれている。

「フッ素が含まれる食品は海産物(煮干しやカニ、エビなど)に多いですが、手軽に取れるものとしては緑茶やコーヒーですね」(望月氏)

とりわけ一番茶や玉露にフッ素が豊富なので食後に飲むといい。緑茶は歯周病予防にも有効だ。

厚生労働省や日本歯科医師会は「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」と、“8020運動”を推進し、平成元年では1割未満だった達成率が現在は5割を超えた。増加の背景には歯磨き習慣や生活習慣の改善で虫歯や重度の歯周病が減ったことが影響していると考えられる。