擬似症を受け入れてくれる病院に発熱患者が集中する恐れ
実は、コロナウイルスかそうでないか、の段階が一番難しい。
「新型コロナウイルスかどうかわからないけれど可能性はある、いわゆる“擬似症”を受け入れる医療機関が最も大変です」と山上医師も答える。
「採血を行っても、画像を撮っても新型コロナウイルスかどうかわからない、PCR検査はすぐに結果が出ないため、とりあえず入院という形をとらないといけませんが、院内感染を考えたらどの病棟でもいいというわけではありません。検討した結果、患者を受け入れられないという結論になる。
インフルエンザのように数分、せめて数時間で結果がでるような検査法が登場すれば流れは大きく変わりますが、すぐには期待できませんよね。今後、擬似症を受け入れてくれる病院に発熱患者が集中し、パンクする可能性がある」
大阪では「重症患者をどこが引き取るか」を毎晩やりとり
そんな中、大阪府は何とか回せているという。前出の中田医師が勤務する病院は感染症指定医療機関でもあるため、通常の救急患者と新型コロナウイルス疑いのある患者も同時に受け入れている。
「オフィシャルなものではありませんが、救急医療、集中治療に携わる医師らのメーリングリストがあり、次に重症患者が出たらどこが引き取るか、というやりとりを毎晩行っているんです。対面で会議も行いますよ。感染を防ぐため、夜に窓を開けっ放しの寒い中、十数カ所の病院の代表が集まって『受け入れ体制』を話し合います。こんな危ないことがあった、こう工夫するとうまくいくなどの情報交換もします。
数週間前から重症患者が右肩上がりに増え続けていたのですが、ついに昨日(4月17日)初めて減少に転じまして、僕らの医療体制が追いついたのかもしれない。今は重症者が60人ですが、120人まで受けられる状況になっています」
さらに大阪府では二次救急病院から三次救急などへの転院の際、医師が介入せず、大阪府が仲介に動いている。中田医師が話す「メーリングリスト」を大阪府が活用しているのだ。
それではなぜ東京都では大阪府のように「次はどこの病院が請け負うのか」というような医療機関の“交通整理”ができないのか。