人は過去から学ぶことが多い

記録が溜まってから振り返ると、自分がどういう行動をとればよいのかが見えてくる。共通項目が多いことに気づきます。人とは積極的に会ったほうがいいとか、行くかどうか迷ったら行ったほうがいいとか、データとして出てくる。客観的に信頼できる情報です。人は過去から学ぶことが多いですが、普段は忘れていますから。過去の苦しかったときのことも思い出させてくれ、失敗の繰り返しを防いでくれます。

五輪開催延期はポケトークの販売には短期的には逆風ですが、考えようによっては、延期決定で、まだまだこれからと期待値が上がりますから、開催延期をポジティブに捉えることもできます。

現在、新型コロナ騒動で増えた在宅勤務の需要に応えるために、テレワーク環境を整えるソフト、通話中のノイズを低減する「Krisp」や、自宅でウェブ会議をするときに背景を変更できる「XSplit」といった商材の取り扱いに力を入れていますが、もしかすると、テレワーク関連製品が今後、当社の柱になるかもしれません。

ビジネスは結局、お客様のニーズに適応していかに早く製品を提供できるかが勝負です。即ちフレキシビリティの維持が問わあれます。

会社は経営者が考えたアイデアを社員が実行するのが一般的です。これを否定はしませんが、私は社員一人ひとりが思いついたアイデアをどう経営に活かせるかが大事だと思うのです。

ピーター・ドラッカーさんの本の一節に「利益はマーケティングとイノベーションと生産性の向上から生まれる」とあります。このことは繰り返し社員に説いていましたが、それを徹底するために2011年10月から始めたのが「MI制度」です。社員全員にマーケティングとイノベーションのアイデアをくださいとお願いしたのです。

当社では社員全員からメールで日報を出してもらっていますが、そこにマーケティングとイノベーションのアイデア、例えば「コンビニで見かけたある商品のポップがよかった」といった気づきや提案を書いてもらうようにしました。マーケも経理も総務も部署は関係ありません。強制ではなく、書きたい人が書く。

MIパーティの記念写真。約130人の社員から毎日40~60通のアイデアが送られてくる。目を通すのは大変だが、かけがえのない情報網である。
MIパーティの記念写真。約130人の社員から毎日40~60通のアイデアが送られてくる。目を通すのは大変だが、かけがえのない情報網である。

送られてきたアイデアを見て、いいなと思ったものには返信をし、リプライがポイントとして溜まっていく。四半期ごとに優秀者を上位から発表します。これは打率制で、例えば営業日が60日で、私からのリプライが30日あれば打率は5割と換算します。3割を超えた社員と私で3カ月に1度、MIパーティを開催し、さらにこの中から優秀者を3つ星レストランに招待することにしました。これがとても好評で、アイデアを提案する際の大きなインセンティブになっているようです。