リモートワークで「人生が狂ってしまう」5つの重大ケース

■夫婦の不和・離婚・DVの危険

例えば、共働き夫婦でともにリモートワークをするケースだ。リモート長期化によって想定されるシチュエーションをこう語る。

「もともと残業が多く仕事依存気味の既婚男性は、在宅勤務になっても朝から晩まで仕事にのめりこみがちです。奥さんが何か声をかけてもパソコンを見つめながら『好きにして』と文脈のつながらない返事。家事も全部奥さん任せ。3食の食事を用意しながら、『私もリモート会議が入ってるに……』と奥さんのイライラが日に日に増していきます。こういうご夫婦は、そのうち夫婦不和になって、最悪の場合は離婚やDVにも発展しかねません」

緊急事態宣言を受け外出自粛の傾向が強まる今後、リモートワーク人口がさらに増え、家庭内の人間関係が悪化するリスクは高まるだろう。SNSでも「#コロナ離婚」というタグがはやり始めている。

「もともと合わないな、と思っていた夫婦はこれをきっかけに一気に夫婦関係が破綻するリスクもあります」

在宅勤務する父親と一緒にいる息子
写真=iStock.com/kohei_hara
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■独身者が自堕落な生活で心身に不調をきたしやすい

リモートワークは出社の必要がないので、ついつい起床時間が遅くなりがちだ。それにより、生活全体のリズムが狂い、ルーズになりやすい。

「特に独身のひとり暮らしの方の場合、睡眠時間が不規則になって気が緩みがちです。実際、社員の中には『職場では身だしなみを整え周囲の目を気をしますが、在宅勤務では人目を気にせず昼寝をしたり、ネットサーフィンもしています』という方がいましたた。また、別の社員からも『家から出ないので運動していません。通勤時は1日6000歩以上歩いていたのですが600歩ぐらいになり、たちまち数キロ太りました』という声が届いています。自堕落な生活は、それだけで心身の不調や生活習慣病のリスクを高めてしまいます」
「会社によっては勤怠管理をアプリで行っていて、社員が自宅でパソコンを使っているかどうか会社側が把握できるようにしています。『仕事に向きあえず自己管理できない人間は出社しなさい』と指示を出すなど、会社側も社員の生活リズム対策には手を焼いているようです」

■バリキャリ女性は仕事環境の変化に弱い

リモートワークになると、会社で集中して仕事をするというこれまでの習慣を変えなければいけない。長年体にしみついた「ルーティーン」ができないことにストレスを覚える人も少なくない。渡辺さんは「とりわけ仕事を最優先してきた“バリキャリ”の女性が心配です」という。

「彼女たちの中には、働くことに全力投球するだけでなく、妻として、母としても万全を期したいという方もいます。もちろん、子育てにも手抜きはしない。そうなると、在宅勤務で小さい子供がいると、仕事の傍らにその面倒もみなければならず、会社にいるときより神経を使います。テレビ会議をしている最中にふざけて仕事を邪魔することもあるかもしれません。仕事に没頭できないことに強いストレスを感じて、感情を爆発させてしまうリスクがあります」

「子供のマネジメントができない自分」を責めて、落ち込むバリキャリも出てくるかもしれない。こうした時、愚痴や弱音を夫などに吐ければいいのだが、渡辺さんによれば「有能な彼女たちは責任感もプライドも高く、旦那さんなどに上手に相談することが苦手な人も多い」という。そうなると、ますます仕事にもプライベートにも悪い影響が出るリスクが高まる