ビジネスツールとしてホームページを作成するなら、内容をきちんと読んでもらうより、まずは潜在的な顧客に訪れてもらうことを考えなくてはならない。そのためには、いかによいものを書くかより、いかにたくさん書くかが鍵となる。検索エンジンに引っかかる確率を高くするためだ。

<strong>ガイアックス社長 上田祐司</strong>●1974年、大阪府生まれ。同志社大学卒。ベンチャー・リンクを経て、99年ガイアックスを設立、30歳で上場。オンラインコミュニティの企画・開発・運営を手がける。
ガイアックス社長 上田祐司●1974年、大阪府生まれ。同志社大学卒。ベンチャー・リンクを経て、99年ガイアックスを設立、30歳で上場。オンラインコミュニティの企画・開発・運営を手がける。

社名や商品名などの固有名詞で検索してくるユーザーは、すでに会社や商品について知っている人である。「40代ビジネスマン」「社長向け」「年収1000万以上」といった一般名詞で引っかかってくる人こそが、新たな顧客になる可能性をはらんでいる。

まず、どんな人に来てもらいたいかを考え、それに関連したキーワードをできるだけ多く書き、そのキーワード検索で上位にランキングされる工夫をすることだ。社員ブログや自社関連のメルマガ、SNSなどにキーワードをちりばめ、そこから自社のオフィシャルサイトに飛べるようにするのも一つの方法だろう。

初めて訪れたユーザーは、商品やサービスについて専門的なことはほとんどわかっていないと思っていい。だから、カタログのようなデータを書き連ねるより、顧客のニーズに対する解決策をわかりやすく書いたうえで、競合商品と比較するなどして自社の立ち位置をはっきり見せるべきだ。

商品やサービスをネットで検索するとき、有名な比較サイトのクチコミページなどに引っかかると安心できる。商品やサービスのポジショニングといった業界地図が把握できるからだ。実際、ホームページで真剣に集客しようとしている会社はかなりの確率で、自社でクチコミページを立ち上げたり、ホームページ内で自社と他社の商品を中立的に比較できる仕掛けをほどこしている。

要はマーケティングの視点で、勝ち負けよりユニークなポジションを見せ、そのうえで顧客が本当に必要としているものかどうか判断してもらう。いまは人づてよりネットから情報を得る比率が高まっている。一昔前、人脈づくりはトップの重要な仕事の一つだった。いまはいかに自社サイトが広く紹介されるか、その仕組みづくりが、優先されるべきだろう。まずは、潜在的な顧客を確実に獲得することだ。それにより長期にコミットしてくれる顧客も育つのだ。