大乱気流を乗り切る「パイロット」に必要なコミュニケーション力
⑥ワンチーム
「アメリカはいつも逆境やチャレンジを乗り越えてきました。そうやって、われわれの世代を偉大なものにしていくのです」「われわれのつながりと人間性こそがわれわれの最大の強み。ニューヨーカーたちがお互いを思いやる姿、それは何にも負けない強み」「われわれは強い。そしてわれわれは愛情深い」。常に「私たち」と言う言葉を使い、国民、ニューヨーカーとしての団結を呼びかける。
⑦エモーショナルサポート
「ウイルスより悪質なのは、われわれが今、直面している恐怖」「われわれは同じ戦いを戦っている。われわれは今、みんな同じ塹壕(ざんごう)にいるのだ」。人々の苦悩、不安、悲しみ、絶望に徹底的に寄り添い、共感し、「必ず乗り切れる」と不安を鎮めようとする。医療関係者などへも惜しむことなく感謝と称賛の言葉を送る。その口調は、一方的に読み上げるスタイルとはほど遠く、「まるで一緒の食卓で家族を励ます父親のよう」と形容される。
⑧責任の所在を明確にする
「もし、何かであなたが腹を立てているのであれば、私に腹を立ててください。責任は私にある。あなたの街の市長がレストランやバーやジムや学校を閉めたのではない。私がそうしたのですが。私がすべての責任を取ります」と言い切る。
⑨誇りと希望を喚起する
「こうした危機はあなたの魂をありのままにさらけ出す」「ニューヨークはあなたを愛している」「より良き自分たちを見つけ出し、道を示していきましょう」とニューヨーカーの誇りを刺激し、必ず、終息することを約束し、希望を植え付ける。
⑩圧倒的な信頼感
地道なコミュニケーションの努力に、ニューヨーク市民だけではなく、多くの米国民が励まされ、有事のリーダーに最も求められる、圧倒的な信頼感を勝ち得ている。
アメリカの有名トークショー番組のホスト、トレバー・ノアは「リーダーはパイロットのようなもの。優れたリーダーは、事前にこれからどんな状況になるのかを説明し、乗客の不安を最小限に抑え、理解を得なければならない」と形容した。まさに「危機感と安心感」をいかにバランスよく伝えるかがカギとなる。
視界は極端に悪く、事態は予断を許さない。
果たして日本のリーダーはパイロットとして、この大乱気流を乗り切ることができるのか。そうあってほしいわけだが、であれば、コミュニケーションを一瞬たりともおろそかにしてはならない。リーダーシップとはコミュニケーションそのものなのであるから。