「中国語を話していると日本人が避けて通る」
新型コロナウイルスが世界を震撼させている。現在、非常事態となっているのはイタリア、スペイン、アメリカなど欧米各国だが、つい1カ月前まで、主戦場は中国だった。中国で最初に発生したのは昨年末といわれているが、中国政府が情報を隠ぺいし、初動を誤ったことが原因で世界に感染を広げた“張本人”だとして、中国は世界から非難を浴びている。
その影響もあり、欧米では中国人を含めた「アジア人」差別が広がっている。欧米人から見れば、中国人と日本人、韓国人の区別はまったくつかない。
その同じアジア人同士である日本人の間にも、中国人への差別や偏見はじわじわと広がっているように感じる。日本では欧米のような露骨な差別や事件はあまり起きていないが、知り合いの在日中国人は「こういう事態になったら中国にも帰れないし、日本にいても肩身が狭い。友だちと中国語を話しながら歩いていると、私がマスクをしているのに日本人が避けて通る」と小声で話していた。
新型コロナ問題により、実際に日本でどれくらい嫌中感情が高まっているのか、正直なところよくわからない。1月下旬に武漢が封鎖された際、日本から中国にマスクなどの支援物資が送られ、中国政府や中国人から感謝されるなど心温まる交流もあったが、ネット記事のコメント欄やSNSどには、相変わらず誹謗や中傷があふれている。中国の記事を書くことが多い筆者自身も、最近は頻繁に心ない言葉が投げかけられる。