B級グルメ探訪:イカ天定食500円也

休日は、休む日だ。家でゴロゴロしているに越したことはないが、あまりゴロゴロしすぎても情けなくなる。とはいうものの、妻子は私を置いてショッピングにでかけた。それはそれで気楽なのだが、そもそもそのショッピングのおカネはどこにあったのだろう。

特に目的もなく、ぶらぶら歩き、飲み屋に入って1時間。またぶらぶら歩いて別の飲み屋で1時間というのが私の休日の流儀だ。

お店の人とたわいない話をして、酒をちびりとやる。友人やら知人がいたら長居をしてもいいのだろう。

神田にある「升亀」。ここのイカ天定食(500円)のボリュームはすごい。散歩前の腹ごしらえにはもってこいだ。味付けも濃いめで、ビールや焼酎ともよく合う。ガード下にあって電車の音がするが、私にはとても心地よい。

そこからちょっと歩いて、九段下へ。靖国神社で売っているソフトクリーム(300円)が格別だ。靖国神社は、8月になるとなんだか物騒な雰囲気になるが、他の月であれば、普通の神社のように静かだ。初夏の生温かい風が酔っ払った私の頬にあたって、幸せな気分になる。

違う日には、浅草へ行ってしまうのもいい。6区にある「翁そば」の“おおもり”(500円)を食らう。そのあとでJRAを覗いたり、演芸ホールに行ったり、浅草寺に行ってもいい。どこに入っても大しておカネはかからない。ここは浅草だ。

それで時間も経って疲れたら、吾妻橋の交差点にある「羽ネル屋」へ。ここはビールケースに座って飲むスタイルだ。赤ワインを2杯と香ばしいホルモン焼き、最近見なくなったハムカツも注文して1000円ちょっとのお会計。賑やかな人通りが私のさみしさを紛らわす。雷門の横のアイスキャンディーは買わなかった。

京成立石だって負けちゃいない。商店街を入ると「宇ち多゛(うちだ)」の前に行列が出来ている。私には時間が有り余っているのだから当然待つ。5分ぐらい経ったところで店の中へ。煮込みと焼酎の梅割りを注文する。

小さなグラスに焼酎を注ぎ、ほんの申し訳程度に梅のエキスを垂らしたものだった。酒の強くない私にとっては、「焼酎のストレート」を生まれて初めて飲むという恐ろしい体験であった。追加にグラスワインを頼み、お勘定は950円である。

(撮影=小原孝博・岡本 凛)