日本は「国民の素地が違う」
日本では地下鉄内での電話も控える人が多いが、中国ではまだ中高年を中心に、公共の場で電話を使う人がいる。また、下車する人よりも先に、乗車する人が入ってきてしまうことも少なくない。「降りる人が先」というルールは、地方都市ではまだあまり守られておらず、ドア付近で身体がぶつかることも多い。
「周囲への配慮が足りないという点では、中国は日本の比ではないと思います。それに、中国では何かを徹底しようとするとき、お上からの指示や、罰則がないと、それを実践できない人がまだ多いですが、日本では社会の暗黙のルールとしてできている人が多い。わざわざ言う必要がないんです。だから、日本では政府も強制的なことをせず、個人の判断に任せている面があるのかな、と思いました」(深圳の女性)
日本ではマスクがない場合はハンカチで口を押さえるなど、とにかく周囲の人に気を配らなければならないことが非常に多い。電車やバスなど公共の場ではとくにそうだ。
しかも、最近では、それがかなりエスカレートしてきていて、雨の日に濡れた傘がちょっとでも誰かの服に触れただけで文句をいわれることもあるし、駅のホームで口論をしている人を見かける機会は、数年前より増えた。日本に暮らしていると、ストレスを抱えている人が多いな、と感じることが多いが、全く違う環境に暮らしている中国人の目から見れば、必ずしもそういうふうには見えないらしい。
今のところ日本では、新型コロナ問題について、強制的ではなく本人や組織に任せる「要請」という段階だが、果たしてそれで大丈夫なのか、という不安を持つ人もいるだろう。だが、そんな日本人の目から見れば甘すぎると感じる日本を「国民の素地が違う」といい意味で捉えている中国人もいる。だからこそ、彼らの目には「日本の満員電車はそこまで危険ではない」と映るのだろう。