突然1カ月に2時間しか子供に会えなくなる別居親の苦痛
ひとり親家庭の大多数が貧困に陥っていることから、国や自治体はひとり親家庭の支援に躍起になっている。子供の福祉のために、養育費の不払いを解消していくことが必須であることは間違いない。
しかし、その一方で、仁志さんのように、子供の親権を取りたくても取れない別居親が大勢いる。家庭裁判所によれば、子供と離れて暮らす別居親たちが子供に会えるのは、1カ月に1回2時間が6割だという。毎日一緒に生活をしていた子供たちと突然、1カ月に2時間しか会えなくなる別居親の苦痛は計り知れない。
親権は母親有利。その根底には、子供の養育には母親との関りが重要だとする母性神話がある。しかし、時代は変わり、男女ともに仕事をし、ともに育児をするという家庭も増えた。それにもかかわらず、いまだに家庭裁判所は“育児は女性の仕事”とし、親権争いの場で母親を優遇している。
仁志さんのように、「妻が不倫し、家庭を顧みなかった」という状況でも、子供の親権は取れず、子供に会えるのは1カ月に2時間となる恐れが強い。このような現状で、強制力のある養育費の取り立て方法だけが決まっていっていいのだろうか。養育費の支払い義務を負う、別居親の声に耳を傾ける必要があるのではないだろうか。