インターネットを末端で利用する我々にとり、グーグルやヤフーをはじめとする検索エンジンは、すでに空気のように不可欠な存在となっている。本書はコミュニケーションを専門とする著者が、検索エンジンの成り立ちをわかりやすく解説しつつ、その有用性と危険性の両方を熟知する「検索知識人」たれと説く。すべてのテクノロジーは諸刃の剣だ。社会生活に浸透してきた検索エンジンを神格化せず悪者視もせず、機能と限界をきちんと把握する必要があるのだ。

第一章と第二章では、検索エンジンが情報を収集しているメカニズムと利用法を解説する。我々が何げなく検索する語句は、検索エンジンによってすべて記録されている。「ウェブサイトを訪問すると、時刻や、IPアドレスや、ユーザーの使っているブラウザやOS、どのページから飛んできたかといった基本的な情報をサイトは記憶しているのだ。検索エンジンは同様の情報だけでなく、どんな語を入力したかも覚えている」(62ページ)。