敗者

敗者たちの物語には人間性が露呈する。織田配下の武将・荒木村重。反乱を起こすが、城が落ちるとみるや一人で逃げてしまった。武士の誇りもかなぐり捨てて生に執着し、晩年には秀吉のお伽衆になった。しぶとい!

「三日天下」の言葉に残された真実【明智光秀】
『覇王の番人』真保裕一・著

「三日天下」なる言葉が現代にまで残ってしまった。しかしこれは仕掛け満載。「信長の操縦を誤った」と、自ら決着を付けたのだ。

忠義一徹。だが、小局観の男【山中鹿之介】
『英雄にっぽん』池波正太郎・著

毛利元就の猛攻を受け、浪人となった鹿之介は、信長と巡り合い、尼子家の再興を図るが……。忠誠心に厚いが、大局観を持たぬ人物の戦。

家臣を捨てて一人遁走。『兵庫頭の叛乱』所収【荒木村重】
『道糞流伝』神坂次郎・著
究極の左遷にあった先でしぶとく生き続ける【宇喜多秀家】
『秀家』赤木駿介・著
裏切りの果てに掴んだ勝利も狂気に侵される【小早川秀秋】
『小早川秀秋の悲劇』笹沢左保・著
伊達政宗の叔父の悲劇。『奥羽の二人』所収【最上義光】
『武将不信』松本清張・著
超人・信長と同時代に生まれた梟雄の悲劇【松永弾正】
『武将不信』戸部新十郎・著
武田家を滅亡させたと揶揄される息子の悲哀【武田勝頼】
『武田騎兵団玉砕す』多岐川恭・著
頭脳明晰、「知性の人」の蹉跌。その全貌について【石田三成】
『石田三成』尾崎士郎・著
武力強化よりも京都文化の摂取に熱中した【大内義隆】
『失楽園の武者』古川薫・著
(構成=須藤靖貴 撮影=宇佐見利明)