非嫡出子とわかる戸籍表記はプライバシーの侵害

男性の場合は、婚外子を「認知」することにより、この子が法律上自分の実子となります。未認知の場合は、父子関係はなし、ということになります。女性の場合は、婚姻外で産んだ子でも自分が産んだという事実があるため、認知の手続きなく、自分の実子となります。

ここで、男性が婚外子を認知する効果についてご説明しましょう。

まずは戸籍上の効果です。認知することにより、父と子の親子関係が生じますから、戸籍上も子として記載されます。

なお2004年11月に戸籍法施行規則が改正されるまでは、嫡出子であれば「長男」「長女」などと記載されるところ、婚外子は「男」「女」とされ、一目で非嫡出子と分かる表記となっていました。改正法の施行で、表記方法が変わり、嫡出子と同様になりました。

ただし、今でも「男」「女」と記載されている戸籍謄本を見かけます。改正前に作られた戸籍については従前の表記のままとしている市区町村が多数あるのです。

115年続いた「相続分の不平等」が是正された

次に相続の効果です。父が認知をすれば、婚外子といえども実子の扱いとなります。相続においても2013年に大きな改正がありました。

それまで民法900条4号ただし書きで「非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1とする」と定められていました。しかし、この規定に対して「非嫡出子に対する差別ではないか」という訴えがあり、裁判の結果、2013年9月4日、最高裁は違憲判決を出しました。

これを受け、異例とも言うべき早さで民法が改正され、3カ月後の2013年12月5日、このただし書き部分が削除されたのです。これによって、明治時代から115年も続いた、嫡出子と非嫡出子の相続分の不平等が是正されました。