東京マラソン「目指すは2度目の1億円」
3月1日の東京マラソンには、世界歴代3位の2時間2分48秒を持つビルハヌ・レゲセ(エチオピア)を筆頭に、2時間3分台が2人、同4分台が5人と国内レースでは“過去最強”ともいえる海外勢が集結する。
大会側は男子のペースメーカーを2パターン準備する予定で、ファーストは「2時間2分台」、セカンドは「2時間4分40秒~5分30秒くらい」のゴールをイメージしているという。中間点でいうと、ファーストは1時間1分30秒前後、セカンドは1時間2分20~40秒くらいの通過になるだろう。
「自己ベストよりも2~3分速い選手が相手ですけど、自信を持って海外の選手に挑んでいきたい」と設楽はトップ集団でレースを進めたい考えだ。
「皆がやらないだけで、日本人はもっとできるんじゃないかなという思いがあるんです。守りの走りをしていても、見ている人はつまらない。自分のことだけを考えて走れば、その先に結果がついてくる。自分のことに集中したいですね」
東京マラソン後は「ハワイ豪遊」宣言
日本勢にとっては、東京五輪代表の最後の「1枠」をめぐる戦いとなるが、設楽はそんな争いに興味はない。
「東京五輪がかかっている大会とは深く考えずに、いつも通り、自分のレースができたらいいなと思っています。リオ五輪を走っても、名誉しかついてこなかった。いまは名誉のために走るつもりはないと思っていますし、たくさんお金を稼げるところがスポーツの魅力。マラソンを目指す子どもたちのためにも、これくらい稼げるんだよ、ということを伝えていきたい」
目指すは日本記録(2時間5分50秒)を塗り替えて、日本実業団連合のマラソン特別強化策「プロジェクト・エクシード」の報奨金1億円を獲得することだ。そこには同学年のライバルである大迫傑を直接対決で下して、「日本記録保持者」の称号を取り返したいという気持ちもあるだろう。そして、日本記録の先には、「2時間4分台」があると考えている。
「5分台と4分台の差は、深く考えたことはありません。2年前は2時間9分台で走れればいいかなと思って、2時間6分11秒(当時・日本記録)が出たので、今回もタイムはあまり気にせず、自然体で走りたい。大学時代から守りのレースをするのではなく、攻めの走りをするのが自分のスタイル。今回の東京マラソンでも自分から揺さぶっていきたいですね。次の日から(バケーションの)ハワイが控えているので、理想は1億円をとって、ハワイで豪快に使うことです」
オブラートに包まない表現は時に誤解を招くこともある。
しかし、彼の走りは、言葉以上に“自己表現”に満ちている。今大会は新型コロナウイルスの感染拡大を考慮して、一般参加者(約3万7000人)は出場できず、沿道での応援も自粛が呼びかけられている。例年と比べて、寂しい雰囲気となるが、設楽悠太の走りがレースを熱くするだろう。