余剰人員が別の仕事をすればGDPは一気に増大する
会社で人が余り、実質的に仕事をしていない人が在籍しているということは、経済全体で見れば、その分だけ、別の生産が犠牲になっているということを意味しています。不景気のときには、モノを作ってもなかなか売れない(つまり需要がない)という事態になりがちですが、ニーズを満たす製品が作られなければ、そもそも需要を喚起しませんから、生産力が犠牲になることは経済にとって大きなマイナス要因なのです。企業というものは、できるだけムダな社員を抱えず、経済全体として、できるだけ多くの生産を行うことが豊かさの源泉となります。
この話はあくまで付加価値が各国とも1万ドルだったらという前提ですが、現実には、付加価値の金額は大きく変わってきます。仮に日本企業が、ムダな社員を抱え、長時間労働だったとしても、分子の付加価値が大きければ、その分だけマイナスをカバーできるからです。
米国は日本の2倍近くも生産性が高いのですが、労働時間は日本並みに長時間労働です。米国の生産性が高いのは、社員の数が少ないことに加え、分子に相当する付加価値が極めて大きいからです。もっと分かりやすい言葉でいえば、儲かる商売をしていることが生産性を高めています。
ドイツも米国ほどではありませんが、儲かる商売に徹していることに加え、残業など考えられないという社会風潮です。分子が増えて、分母が減少するわけですから、生産性が高いのは当たり前なのです。
米国人はテキトーに仕事をしているのになぜ生産性が高いか
以前、日本人ビジネスマンの仕事の仕方と、米個人ビジネスマンの仕事の仕方をコミカルに比較したユーチューブの動画がネットで話題になったことがありました。
日本人はデスクできちんとした姿勢で座り、電話に出るとペコペコ頭を下げながらしっかりと対応しています。一方、米国人は椅子にふんぞり返り、ダルそうに仕事をして、電話が来ると「ランチを食べてから」といって電話を切ってしまいます。
これには相当、誇張が入っていますし、会社や人によって状況は様々なわけですが、あながち間違ってはいません。多くの米国人は仕事がかなり適当ですし、細かいところは気にしないというか、非常に雑です。
しかし、日本と米国を比べると圧倒的に米国の方が生産性が高いのですが、この差は、ひとつの仕事から得られる利益の違いによってもたらされています。
米国は社会全体として、儲からない仕事は基本的にやりません。自動化できるものや、途上国にアウトソースできるものは、ドンドン外に出してしまいます。
また、業務上、意味のない作業を行うことはほとんどありません。