権力監視を忘れてしまったテレビ朝日の番組たち
自分にすり寄るメディアは可愛がり、酒食を共にするが、敵愾するメディアは「フェイクだ」と決めつけ、それに同調するネトウヨが図に乗って、当該のメディアを攻撃する。
いい例がテレビ朝日である。かつては、見せかけだけだったとしても報道のテレ朝として勇名を馳せた。だが、「ザ・スクープ」を終了させた早河洋がトップになると、次々、報道番組を潰し、「報道ステーション」をニュースバラエティに変えてしまった。
早河会長は、出版界、芸能界の安倍ベッタリ人間の伝手で安倍に食い込み、ジャーナリズムの重要な役割である、権力監視など忘れたかのようである。
早河会長の意を汲んでいるのが、朝の「モーニングショー」だと、私は思っている。
韓国の文在寅大統領が曺国を法相に就任させた時は、毎日のように、文政権と曺国バッシングを飽きもせず続けた。結果、国内の嫌韓派を増大させることに“寄与”したのである。
そして今回は、中国発の新型コロナウイルスの感染について、毎日、長時間放送している。私は朝飯を食いながら、画面は見ないで聞いているのだが、徒に恐怖を煽っているとしか思えない。
たしかに感染力は強いが、死亡者の多くは高齢者で、死亡率も2%程度だというのに、この番組だけを見ている視聴者は、何やらペストでも蔓延しているかのような錯覚に落ち入るのではあるまいか。産経系列のフジ『とくダネ!』は論外。
国内初の死者が出た日も「右派連中」と会食へ
マスクというのは、本来、風邪をひいた人間が、ツバなどをまき散らさないようにするためのものであるはずだ。私のように、高齢で、マスクをしない人間が満員電車で咳でもしようものなら、周囲の人間から「死神」のような目で見られる。
メディアはこういう時、視聴者に正確な情報を伝えて、正しく恐がらせるのが役割であるはずだ。徒に、恐怖心を煽りたて、視聴率を稼ごうとするのは下品である。当初の頃は、曺国バッシングのときと同じように、中国叩きが目についた。
だが、安倍政権の対応は、さらにひどかった。中でも、横浜港に停泊中のダイヤモンド・プリンセス号の乗客や乗組員を、ウイルスの蔓延する船の中に閉じ込め、ほとんど手を打たず、長期間放置して多くの人間を感染させてしまったのは、人道上も大きな問題である。
アメリカ国立衛生研究所はこのクルーズの船内を「(感染)ホットスポット」といっていたのに、安倍首相は、早急に手を打つとばかりいうだけで、何ら手を打たず、感染が広がるのをただ見ていることしかできなかった。