「5分後シリーズ」に学ぶ手法
こうして5分後シリーズは「短編集やアンソロジーは売れない」というジンクスを跳ね返し、無数のフォロワーを生むことになった。
本家も「もともとのコンセプトが『読者を飽きさせない』というものでしたので、その後『5秒後に意外な結末』、恋をテーマにした『5分後に恋の結末』、セルフパロディのような『5億年後に意外な結末』と派生シリーズも展開してチャレンジを続けていますが、いずれも好評です」(目黒氏)。
『5分後』の派生で出した『5秒後』シリーズは1ページ目にフリがあり、めくると2ページ目にオチが書いてある、というショートショート集だ。こちらも目黒氏が好きだったという多湖輝のベストセラー『頭の体操』の「フリがあり、考えて、めくると答えがある」という構成がヒントになっているという。
今の時代「得るものがすぐわかるもの」が好まれる
「すぐにおもしろい」というものが好まれるのは、大人向けでも同じだ。5分後シリーズは2019年末に『5分後に意外な結末 ベスト・セレクション』として、一般向けの講談社文庫からも刊行されている。4刷4.5万部と順調に売れており、発売以降一度も売上が落ちることなくコンスタントに販売数が伸び続けているという。
大人向けの本を子ども向けに翻案する取り組みはこれまでもあった。今後は、子ども向けの本から生まれた手法やシリーズを大人向けに展開するという動きが増えそうだ。