映画宣伝のPR担当者も「有権者」
意外なのは、ここにPRなどを行うパブリシストも含まれているということ。パブリシストとは、各作品を宣伝したり、俳優や監督などノミネートされた人物の広報を担当したりする人を指します。直接的な作品製作に関わっていなくても、作品を世に出すことに関わる人であれば、アカデミー協会員の資格があるわけです。
これらのどこにも属さない人は「members at large(無所属)」というカテゴリーに入ります。これは、現場で監督やプロデュースなどはやっていないものの、「映画業界の中では重要な人」みたいなニュアンスと思われます。ここには、大手スタジオの重役や、世界各国の映画関係者で国際的に知られている人たちなど、映画業界に貢献している方々が名を連ねています。
アカデミー協会員が激増している理由
AMPASは毎年、世界の映画界で目覚ましい活動をした人に、新会員として加入を促す招待状を送っています。この「アカデミー協会員になりませんか?」という招待は、映画人としては最高の栄誉。既存会員2人以上からの推薦を受けた上で、協会の審査に通った人達に招待が送られます。ただ、招待状を受け取った全員が会員になるわけではありません。様々な理由で拒否する人もいるようです。
ここで特筆すべきは、毎年の招待数の推移です。私の記憶が正しければ、2000年代前半くらいまでの会員数は3000人から4000人くらいで推移していました。毎年それなりの数は招待されていましたが、亡くなる方もいるので、大きな変動はなかったと思います。
ところが2010年代に入ると、招待数がものすごい勢いで増えていきます。
2013年に276人が招待された時、ある業界記事には「これによってアカデミー協会員数は6000人を超える」と書いてありました。そして2019年現在、アカデミー協会員は約9000人弱いるとされています。それが正しければ、この6年で会員数は1.5倍に膨れ上がったことになります。