「地味な起業」の最初の一歩はささいな雑務です。しかし、言われたことをこなしているだけでは、時給の世界からは抜け出せません。クライアントからの生の声を聞きながら現状を整理していく。すると、いまやらなくてはいけないことが見えてくる。そのなかで、サポートの提案をしていくわけです。そうやって相手を巻き込んでいき、徐々に仕事を回収していく。すると「月5万円でうちの会社を手伝ってくれないか」などと次第に仕事の規模もステップアップしていくのです。

「地味な起業」のニーズは増えていく

たとえば、異業種交流会に参加して、ある社長さんとお話ができたとしましょう。私であれば、「自分のスキルがいかに高いか」をアピールするのではなく、とにかく相手の話に耳を傾けます。そのデータをもとに、社長が困っていることや会社に必要なことを分析して、レポートにまとめ、ちょっと読んでみてくださいと渡しにいってみる。そこから仕事が生まれていくのです。

飲食店の社長さんであれば、やはり料理の研究をしたり、顧客のことを考えたりすることに時間を使います。だから、礼状を書いて大勢に送ったり、QRコードを読み込んだ会員のリストをつくったりとかに時間をかけたいのにかけられない。そんな仕事はたくさん転がっています。

今後も自由な働き方を選んで、経営者として事業をつくっていくという人は増えるでしょうから、彼らのサポートをする「地味な起業」というニーズは増えていくと思うのです。

営業をしなくても仕事は取れる

勤めていた会社が倒産したことを機に、HP制作の仕事を始めたというフリーエンジニアのKさん。ここからはHP制作で会社員時代の10倍の収入を実現したKさんに解説してもらおう。

当初は実績もスキルもなかったので、クラウドソーシングを利用して単価の安い仕事を受注していました。簡単な仕事とはいえ、それなりのスキルは必要になる。一つひとつ本の情報を参考にして、仕事をこなしながら覚えていきました。勉強してから仕事を始めるのでは遅い。はじめは月に5万円の収入です。日本では厳しいので、当時まだ物価の低かった上海に移住して、2年間その生活を続け、月収は20万円まで上がりました。

これから副業としてHP制作を始める場合、細分化された仕事からやっていくべき。バナー広告をつくる仕事など、小さい実績を積み上げていく。まずは枝分かれした部分から身に付けていくのです。しかし、HP制作の分野はすでに競合が多い。SEO対策やアクセス解析に秀でた人もいれば、デザインに秀でた人もいる。いかに隙間を突いていくかが重要になります。