E伯母の認知症が進む

伯母2人の生活は、E伯母が働いて家計を支え家事の一部と諸手続きを担当、R伯母が家事の大半を負担というすみ分けで成り立っていました。しかし、2人とも入退院を繰り返すようになると、そうもいきません。いわゆる、「老老介護」の状態に陥っていました。

さらに、私が実家に戻るようにしてからわかったことですが、E伯母は認知症が少しずつ進んでいたのです。出かけるときのバッグや財布をどこにしまったか忘れる、仕事の電話をしていると後で「私の悪口、言ってなかったでしょうね?」と詰問する、お茶を入れる動作も忘れる……。

さらに2019年2月、R伯母が入院中に、E伯母が雪道で転倒してしまいました。以降、首がずっと下を向いたままになります。当然ですが、仕事の継続が難しく、化粧品販売も2019年で辞めてしまいました。そうなると、ますます、認知症が進みます。

そのE伯母の面倒を誰が見るのか、と言えばR伯母しかいません。が、もともと体が弱いので、ただでさえ無理がある老老介護などさらにうまく行くわけがありません。認知症や「老老介護」と並んで大きな問題が除雪作業です。

後期高齢者には無理がある雪かき

北海道札幌市は雪まつりが観光資源として有名なほど、雪が降ります。市の中心部はロードヒーティングですし、幹線道路は除雪車が稼働していますから、そこまでひどくはありません。問題は個人住宅で、これは個人個人で除雪するしかありません。このあたりは雪国の地方であれば当たり前と言えば当たり前なのですが。

実家にファミリー世帯が住んでいれば、雪かきを後期高齢者がしなくても済みます。しかし、R伯母・E伯母のように後期高齢者しか住んでいない家だと、個人負担となります。入退院を繰り返すほどの伯母2人が雪かき作業をすること自体、無理があります。

札幌市には福祉除雪という制度があります。市と契約した除雪業者が高齢者の個人住宅を除雪する、という制度です。高齢者の負担は一世帯あたり年5000円と非常に安価です。当然ながら伯母2人もこの制度を申し込みました。

ところが、担当の除雪業者は雪が降っても「今は×センチ以下なので除雪しませんでした」などの言い訳をするだけで除雪しません。見かねた私が除雪をすると、「本日はすでに除雪済みだったので作業はしませんでした」。伯母が除雪業者や担当の社会福祉協議会に連絡しても、全く埒があきません。

私が連載をしている地元紙の記者にこのことをこぼすと、「石渡さん、福祉除雪はね、もう駄目ですよ。当てにならないことで有名です」と話しました。