通勤利便性を重視する考え方にシフトチェンジ

「時代とともに家選びの基準も変わります。『暮らす』という環境を重視するよりも『働く』、つまり通勤利便性を重視する考え方にシフトチェンジしたことは、湾岸部のタワーマンションの人気が高いことにも象徴されています」

リクルート発行の『SUUMO』19年11月12日号の「2020年人気が出る街ランキング」でも1位は豊洲。ほかにも品川、勝どきなど開発が進む臨海部が票を集めている。

「ただ、いまだに多くの人が『住む、暮らす』という価値と、『投資』としての価値をごっちゃにしていて、住宅価格の上昇を見込んで選ぶという考え方は根強く残っています。しかし、東京には近い将来、必ず起きることが2つあります」

1つは人口の減少だ。

人が集まるほど不動産の価値は上がる。1956年当時約800万人だった東京の人口は、2010年には1300万人を超え、19年時点で約1385万7000人。日本全体の人口が減るなか、東京への一極集中である。

ただ、このまま際限なく増え続けるわけではない。東京都の発表によれば、人口は25年をピークに、その後は減少するとしている(区部のピークは30年、東京都の世帯数のピークは35年という予想)。

「ごく当たり前に人が集まってきた東京も10年後には限界を迎えます。原因は住民の高齢化です」

東京の高齢者人口は18年の時点で307万8000人(前年比2万6000人増)。高齢化率(65歳以上が人口に占める割合)は23.3%、若者の街の印象がある東京だが、4.3人に1人は高齢者なのだ。しかも、推計開始以来、初めて75歳以上の人口が65歳から74歳までの人口を上回った。

「区部の75歳以上の人口が100万人を超えました。この世代は区部に家を持てた世代です。つまり、区部において大量の相続が発生するのです。しかし、相続をする側もすでに自分の家を所有している世代。親の家に移る人もいるでしょうが、相続した物件を売却や賃貸に出す人も多いはずです」

日本は中古物件よりも新築物件をという志向が強い。人口・世帯数減少が始まっても、住宅の供給が減らなければ空き家が増える。それが中古市場に溢れれば、空き家ではない住宅も影響を受ける。ちなみに現在、都内の空き家は81万戸。空き家率10.6%である。