以前は、慢性副鼻腔炎の手術といえば、全身麻酔で頬骨に穴を開けて行う大がかりなものでした。左右の副鼻腔の手術が必要になるものの、1度に手術できるのは片方だけ。片方の手術を終えたら、約2週間の休養期間を設けなくてはいけないため、最低1カ月は入院しなくてはならないのが常でした。
手術入院が短くなった理由
一方、現在は内視鏡を使って手術を行うため、入院期間は長くても1週間程度と大幅に短縮されました。なかには日帰りで行うクリニックもあるほどです。全身麻酔で行うのは同じですが、左右の鼻を同時に手術できるようになったことが大きく好転した理由です。
手術は、内視鏡の先端についたレンズで映し出される映像を確認しながら進めます。鼻茸を切除するとともに、副鼻腔内の膿を吸引し、副鼻腔と鼻腔をつなぐ孔を広げます。
手術時間は重症度によって異なりますが、長くても2~3時間ほどで終わります。かつての手術に比べると、痛みや出血が少なく、術後の腫れが少ないのも利点です。
また、内視鏡手術が導入されたことで、術後経過も変わりました。かつての外科手術では「術後性頬部嚢胞」と呼ばれる合併症がかなりの頻度で生じていましたが、内視鏡手術では見られません。内視鏡手術では鼻茸など異常に腫れた粘膜は取り除くものの、それ以外は基本的に残します。この基本的な構造は残したまま、治癒に導くアプローチが好影響を与えていると考えられています。
(構成=島影真奈美)