中国が「第2のアメリカ」になれない理由

それでは、次にその立場に取って代わるのはどこでしょうか。今後、多くの国がアメリカに取って代わろうとするでしょう。私の考えでは、どこも成功しないと思います。アメリカの後釜にはなれないでしょう。ヨーロッパは後継者になれると思いますが、統一されていません。

中国はどうでしょう。私の考えでは、中国はアメリカの後継者にはなれません。なぜなら、前にも言ったように中国はこれまでの歴史において内側にのみ目を向けていて、文化、言語、生活水準、生活様式を他のところに拡大しようとしませんでした。中国は強力な大国になると思います。日本を含めて支配するかもしれませんが、世界の覇権は握れないと思います。

どこも大国になれず、国家の代わりに企業がリーダーになる

私の視点では、この先の10年は大まかに言っていくつかの段階を経ていくと思います。1つ目は、アメリカ帝国が凋落し、それとともに、ひどい出来事がたくさん起こり得る。2つ目は、国家間が戦ってアメリカの後釜になろうとするでしょう。いろいろなライバルが出てくるでしょうけれども、1国が勝利することはない。

3つ目の段階では国民国家が市場によって凌駕りょうがされ、国による戦いではなくて企業による戦いが起き、国家に対して権力を得ようとします。これは今、GAFAや中国企業などを見れば分かるように、企業間の戦いで権力を握ろうとしています。Facebookの新しい通貨や国民の生活の監視、新しい軍隊の創設といったことに国家が反応しなければ、国家はリーダーの役目を企業に取って代わられるでしょう。

私はアメリカがナンバーワンを続けることはできないと思います。中国もナンバーワンにはなれません。しかし、企業がナンバーワンになることは大いにあり得る。