経営難が続く液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)。ついに投資ファンドから金融支援を受けることで調整に入ったが、元幹部による着服や、過去の決算で不適切会計を行った疑惑があるなど、未解決の問題は山積みだ。国はいつまで「日の丸液晶」の支援を続けるのか——。
写真=時事通信フォト
記者会見するジャパンディスプレイ(JDI)の菊岡稔社長=2019年12月12日、東京都千代田区

最大900億円の支援を受けるが腑に落ちない

「経済産業省は産業政策失敗の責任を取らない」。企業幹部のそうした憤りをよく耳にするが、渦中のジャパンディスプレイ(JDI)再建問題は、その典型ではないか。

12月12日、JDIは記者会見を開き、独立系投資ファンドのいちごアセットマネジメントから800億~900億円の金融支援を受けることで今後詳細を詰めると発表した。

JDIを巡っては4月に台湾の電子部品メーカーなど3社で構成する台中連合「Suwaインベストメントホールディングス」が800億円を支援すると発表したものの、その後、各社が次々と離脱し、事実上、空中分解している。

JDIは12月31日までとSuwaとの交渉期限を設け、合意に達しない場合はいちごアセットからの支援を受ける方針。記者会見でJDIの菊岡稔社長は「いちごアセットは長期保有を前提としており、熱心なサポートをしてもらえそうだという気持ちを強くしている」と語り、心がいちごアセットに傾いていることを強く示唆した。

しかしこの話、どうにも腑に落ちない。JDIでは直近、こんなことが起きているからだ。