「ここまではネットで調べた文章をそのまま述べましたが、ここからは自分の言葉でお話をさせていただきます」あるいは「先ほど神様の前で一生の愛を誓っていた2人ですが、まだ間に合います。私のスピーチを聞いてから最終判断をしていただければと思います」。どちらも、このあとに続く褒めエピソードのフリになります。なお僕の実体験ですが「同じ名字の有名人」は新郎新婦の紹介に使えます。

「新郎の池崎ヒロアキくんは『ジャスティス』などのハイテンションな芸風でピン芸人として活躍し、現在の芸名がサンシャイン……すみません、これ池崎ヒロアキ君ではなくてサンシャイン池崎君の紹介でした」

彼の情熱には取引先も感動、海を越えて全米も感動しました

次はいよいよ褒めエピソードですが、「過剰ボケ」を使いましょう。例えば「彼は仕事もできるし飲み会も盛り上げる二刀流。私は彼のことを大谷翔平と呼んでます」。あるいは「彼の情熱には取引先も感動、私も感動、海を越えて全米も感動しました」。「全米も感動」はよく聞くフレーズですが、結婚式という堅い場面で不意に出てくると笑ってしまいます。

「人生には3つの袋」ではないですが、上司として格言の1つも口にしたいところです。例えば「夫婦げんかは犬も食わないと言いますが、もしけんかしたら、どんな理由であれ○○君から先に謝ってください」。これだけだと面白くありませんから、実例を出しましょう。「わが家ではけんかしたら、仲直りのしるしに妻の好きなプリンを買って帰ります」。これだけでも可愛げのある上司をアピールできますが、続けて「最近はあらかじめ冷蔵庫にプリンを10個ストックしています」。最後に「今は残り3つしかありませんが」でオチをつけます。

最後は、新郎新婦のために会場から盛大な拍手をもらいましょう。「これから新しい生活を始めるお2人。何か困ったことがあれば、ぜひ私や会場の皆さんを頼ってください。列席されている皆さん。新郎新婦が困ったら力になる、という方は大きな拍手をお願いします」。スピーチに目もくれず酔っ払っていた人たちも、これには釣られて拍手をしてくれるでしょう。会場全体を巻き込んで、大団円を迎えることができます。

(構成=東 雄介 撮影=市来朋久)
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