ぽっちゃりの店員さんがいると売り上げが上がる理由

このやり方は、野菜以上に価格と価値が多様なワインや日本酒などであれば、なおのこと有効になるのではないでしょうか。専門家としての説明は店員さんで対応可能なので、それを補完する意味でそれぞれの銘柄のお客様の評価コメントを売り場に掲出すれば、検討している方にとってはとても有益な情報になると思います。

そのPOPのデザインも段ボールに殴り書きするのではなく(それはそれで臨場感があって良かったのですが)、コメント内容に合わせて上質なものやにぎやかなもの、お得感を感じるものなどバリエーションを設ければ、「Emotion(感情・感覚)」に訴えかける効果も持たせられると思います。

実は、ある女性向けのセレクトショップ店長によると、「ぽっちゃりの店員さんがいると売り上げが上がる」のだそうです。「ぽっちゃりしてるけどオシャレな店員さんがいることで、ぽっちゃりしたお客様からも『私もかわいく着こなせそう』と思ってもらえる」ということでした。逆にスタイルのいい店員さんばかりだと、「そういったお客様が『自分には似合わないかも』と思って買う決断をしてくれない」と言うのです。

いかにして「自分ごと」として捉えてもらうか

これもある意味「Discussion(対話)」の本質に着目した成功事例と言えるかもしれません。商品を第三者的に見てもらうのではなく、「自分ごと」として検討してもらう、それができれば、買いたくなる可能性はもっと高まると思うのです。

これを応用すると、ぽっちゃり型の店員さんがいないお店でも、例えばいろんな体型の人が自社の商品でコーディネートした写真を用意して、自分が着るとどうなれるのかを検討する材料にしてもらう、といった手法を取ることで、同じような効果を生み出すことができるかもしれません。

あるいは体型以外でも、あえて安価な服と組み合わせたコーディネート事例を用意して、手持ちの安価な服と組み合わせてもこんなに素敵なコーディネートができますよ、と伝えることで着回しが利くことを実感してもらうなど、この手の手法は様々に応用ができると思います。