「常識」や「非常識」は時代によって変わる

ボクは漢字テストをするとき、満点を取れなかった場合、間違えた漢字を10回ずつ書いて再提出してもらい、満点になったら完了というルールを設定しています。そして、1週間以内に「お直し」が完了しない場合、全部の漢字を10回ずつ書き直すペナルティを課します。

「お直し」を再提出することには学習上の意味があっても、期限を守れなかったペナルティには、それほど意味がありません。だから、保護者の方にも漢字テストのルールを説明したうえで、期限を守れなかったときのペナルティを受けないようにサポートしてほしいと伝えるのです。そうすると、親御さんも子どもたちも納得して、そのペナルティを受けないように頑張ってくれます。

また、万が一、ペナルティを受けることになっても、生徒はそれまでに「お直し」をするチャンスがあったのにしなかったからだと自分でわかっているから、受け入れてくれます。この漢字の書き取りも、現代の常識には合わないように見えるかもしれません。それでも、教師と生徒の両者が納得している、理にかなっている指導は、決してすべてが否定されるものではないと思っています。

時代によって、常識が非常識に変わるなら、当然、昔は非常識だったのに今は常識になっていることもあります。そして、小学生を育てることにおいてもやはり、そんな変化に合わせて変えていく必要があるでしょう。

子育てを「KPI」で考えてみる

親御さんはみんな、子どもに「こう育ってほしい」という気持ちがあると思いますが、それが本当に子どものためになっているのかは、今一度、考えてみるといいとボクは考えています。例えば、教師が犯してしまいがちな過ちの一つに、KPIを子どもの学びではなく、自分の頑張りに置いてしまうというものがあります。

KPIとは、Key Performance Indicatorの頭文字をとった略語で、マーケティングの分野でよく使われている言葉なので、会社で働いている人は耳にしたことがあるでしょう。日本語にすると「重要業績評価指標」となんだか難しそうですが、簡単に説明すると、目標に対して、どれくらい達成できているのかをわかりやすく示した指標(目印)のことです。

例えば、最終的な目標を「売上を2倍にする」と設定した場合、それを達成するために、「商品を改良する」や「広告を増やす」「品数を増やす」「コストを削減する」など、いくつかの施策を考えますよね。KPIは、そうした施策ごとの目標値で、それがどれだけ達成できているかを知ることで、最終的な目標の達成にどれくらい近づいているかがわかりやすくなるのです。