まるで「アラカワスタン」の東京都荒川区

取材班がまず注目したのは、増加率3位のウズベキスタン。中でも今、荒川区にウズベキスタン人が急増しているそうなのだ。2013年には20人だけだった区内在住のウズベキスタン人は今や228人と、10倍以上に増えている。2年前と比べても100人以上と急速な増加だ。

荒川区とウズベキスタン。そのつながりの一端がうかがえる場所があると聞いて訪ねたのは、西日暮里の谷中銀座だ。

昔ながらの商店街に何があるのかと疑いながら歩いていると、突如として現れたのはこの場所に不釣り合いとさえ感じる異国情緒満載のレストラン。

オーナーのアリさんはイラン出身。イラン料理やトルコ料理とともに、20年近く前からウズベキスタン人のアルバイトを雇ったことをきっかけにウズベキスタン料理を提供するようになった。当初はほとんどオーダーが入らなかったそうだが、ウズベキスタン人住民の増加とともに徐々に口コミで広まり人気が出てきたという。今では、多い日には30人ほどのウズベキスタン人が故郷の味を求めてやってくる。

家賃は安いし、日本語学校へも通いやすい

その1人、ジュラバエフ・ジャスルベックさん(26歳)は、2017年4月に来日。荒川区内に住みながら、高田馬場にある日本語学校で日本語を学んでいる。

ジュラバエフさんによると、荒川区に住むウズベキスタン人の多くが、自身と同じように日本語学校に通う20~30代前半の男性とのこと。先に留学した先輩からの情報で住み始める人が多いそうだ。荒川区の家賃の安さや、日本語学校が多くある高田馬場や秋葉原へアクセスしやすいのがメリットで、同郷の人が多く住む安心感から知らず知らずのうちに集まってきているという。

妻、そして2歳と5歳の男の子を故郷に残して単身で留学しているジュラバエフさん。毎日のようにネットで通話するが「やっぱり1人はさみしい」とぽつり。それでも日本語学校を卒業後はIT関連の知識や技術を身につけて帰国したいと話し、「日本に留学するチャンスをくれた家族の生活を助けたいし、日本のテクノロジーを活用して社会の発展に役立ちたい」と語ってくれた。

新宿区・新大久保のコリアンタウンに異変が

新たなコミュニティができている中で、意外な発見もある。東京のリトルタウンで最も有名と言える、新大久保のコリアンタウンが縮小しているとも見える数字があるのだ。

新大久保の位置する新宿区の国籍別人口を見てみると、2008年には1万4000人いた韓国・朝鮮籍の人が、10年間で3割近くも減っているのだ。

しかし、実際に新大久保を訪れるとかつてないほど活気があふれているように見える。平日にもかかわらず電車を降りる人で混雑し、駅の外に出るのも一苦労だ。