ソロ客に支持されない商売は、立ち行かなくなる

「独身者に対する世間の風当たりは、今なお強いし、家庭持ちの人との間には根深い対立構造があるのを感じます」

独身研究の第一人者として博報堂ソロもんラボを率いる荒川和久氏はこう切り出す。

「既婚者の言い分は、独身者が自由な生活を謳歌するのは自由だけど、彼らの老後を支えるのが自分たちの子供世代というのが許せないということ」

独身研究家 荒川和久氏

独身者を快く思わない人がどれだけいようとも、社会の「ソロ化」は加速する一方だ。総人口に対する独身者率は、1980年の34%から2015年には41%まで上昇。40年には47%、つまり人口の約半分に達する見込みだ。日本社会で進んでいるのは高齢化ばかりではない。

この流れを受け、市場は確実にソロ仕様にシフトしつつある。コンビニはもちろんのこと、本来は「ファミリー」向けだったファミリーレストランでさえ、ソロ客需要に対応するために、仕切り付きのボックス席を用意するところも出てきた。

「今まで大切に扱われていなかったと感じるソロ客も、そういう店ならリピートするようになる。店の稼働率も上がり、ブランディングにも貢献します。ソロ客に支持されない商売は、近い将来、立ち行かなくなるでしょう」(荒川氏)