転職や独立など、何か新しい道に進みたいと思ったとき、「あと10歳若かったら」と自分の年齢を気にする人がいる。しかし心理カウンセラーの中越裕史氏は、「若いほうが有利なことはいくらでもあるが、結局取りうる選択肢とは『今からでも、やるしかない』だけだ」と指摘する——。

※本稿は、中越 裕史『やりたいこと探し専門心理カウンセラーの 日本一やさしい天職の見つけ方』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

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「もうこんな歳だから」「もっと若いときからやっていれば」はよく聞く文句だが――。(写真はイメージです)

「闘争」か「逃走」か、人生の選択

人生というのは選択の連続です。たとえば転職、起業、結婚など、目の前に人生の大きな選択肢があるとき、誰だって大きなストレスを感じます。

強いストレスを感じたとき、人間は本能的に、「闘争」か「逃走」の反応をしてしまいます。

つまり、「チャレンジをするか」「あきらめて逃げ出してしまうか」。

でも、人間というのは僕自身を含めて誰だって怠惰な生き物で、ほんのちょっと都合のいい言い訳が与えられると、ついチャレンジよりも「逃走」を選んでしまいます。この、人類のほとんどが持っている都合のいい言い訳が、「もう少し若ければ、チャレンジしたんだけどな~」というもの。

新しいことに向かって「闘争」するか「逃走」するか。誰だって心の中に迷いがあって当然。悩んでいるときは49対51かくらいの絶妙なバランスで、心に葛藤があります。そういうバランスで葛藤があるから、簡単に答えが出せないんですよね。

そこにほんの一押し、「もういい歳なんだから、無理なチャレンジして失敗したらみっともないよ……」なんて声が聞こえてきたら、「闘争」と「逃走」のバランスは一気に「逃走」に傾いてしまいます。

僕自身、偉そうに人のことがいえず、「もう40歳なんだから、多少お腹が出たって仕方がないよな~」と、腹筋との戦いから「逃走」してしまっています。腹筋からですら「逃走」してしまうのですから、転職や起業となると、年齢を言い訳に「逃走」しても仕方がないのかもしれません。

女子高生にすら「若ければ症候群」の人が

僕が偶然、電車の中で聞いた女子高生の言葉です。

「好きなことで食べていけたら、一番いいやん。私やったら、ダンスで食べていけたらいいけどさ~。そんなん、もっと若いときからやってないと無理やんな~」