歌声が美しい人とそうでない人は、何が違うのか。ボーカル・ボイストレーナーの山森隼人氏は「美空ひばりさんの歌声とジャイアンのリサイタルを比べると分かりやすい。2人の発声の違いは喉ではなく、鼻にある」と指摘する——。
※本稿は、山森隼人『美しい声になる歌がうまくなる奇跡の3ステップmethod』(光文社)の一部を再編集したものです。
いい声って、どんな声?
ふと耳に入ってきた声が「いい声だな」と感じる経験は、誰にでもあると思います。テレビやステレオから流れてきた歌声だったり、ニュースを読み上げるアナウンサーの声だったり、または、デパートのアナウンスやイベントの司会の声やたまたま喫茶店で隣に座った人たちの話し声など、私たちはいつも耳からたくさんの声を取りいれています。
人が、「いい声だな」と感じるのは、一体どんな声でしょうか。
私は、聞き手に「いい声だな」と感じさせるための条件は3つあると思っています。
一つ目は、「鼻腔が鳴っているか」。つまり、声が喉ではなく、鼻で響いていること。
二つ目は、「30%ルールで吐けているか」。一瞬で吐き切る強いため息の状態を100%とすると、歌うときは概ね30%の息の量を維持できている状態が理想です。つまり、吐く息の強さと量が常に一定であること。
三つ目は、「テンポにのっているか」。つまり、話し方にリズムがあること。
これらのうち、今回は一つ目の「鼻鳴り」について、お話ししていきましょう。