上がらない給料、減少した人材育成の機会……。いざなぎ景気を超え、企業が最高益を更新しても、従業員の不安感は消えない。バブル崩壊以降に蓄積した従業員の我慢が限界に達し、経営者への信頼をすり減らすことにつながるのではないか、と筆者は危惧する。

バブル経済崩壊からの復活過程でもっとも効果的だった経営要素は何なのだろうか。

情報技術(IT)?
株主重視のガバナンス構造?
財務的なリストラ?

もちろん、こうした要因も重要なのだろうが、経営者があまり気づいていない要素として、「従業員の我慢」があるように思う。従業員は数多くの厳しい施策を我慢して受け入れ、そのなかで会社の建て直しをしっかりと行ってきたのである。何年たっても上がりそうにない賃金を受け入れる、ひとりふたりと正社員が減り、派遣社員に置き換わっていく職場を見つめる。そして、多くは、自らが“リストラ”されることを受け入れ、新しい職場に希望をつないだ。