大火災が世論にもたらしたものとは

今アメリカの最大のヒット食品の一つは、豆などで作られた代替肉バーガーだ。今や一般のスーパーやバーガーキングなどでも売り出されており、消費する人の8~9割はヴィーガンでもベジタリアンでもない、普段から肉を食べる若者なのである。まさに肉に変わるオプションとして、また新しくワクワクする食アイテムとしてトライしている状況だ。

代替肉が狙うのはアメリカの食肉市場だけではない。世界で経済発展が進む中、特にアジアを中心とした食肉需要の爆発的な急増に応えるためには、もっと畜産を振興しなければならないが、環境を破壊せずにそれを行うのはもはや難しい状況になっていると考えられている。

そこで大きく期待されているのが代替肉だ。バークレイズ・グループは、代替肉の向こう10年間の成長は、現在の100倍に当たる1400億ドルにまでに達し、食肉市場の10%を占めるようになると予測している。

その代替肉への注目も、今回のアマゾンの火災を受けてより高まったと言えるだろう。金融大手・UBS幹部の「代替肉は環境を救うことができる」というコメントが報道されるなど、環境を守りつつ世界の肉需要をどうするかは産業界、経済界を挙げての問題になっていることをうかがわせる。

こうしたニュービジネスが勃興ぼっこうする一方で、この肉問題はいつの間にか別の分野にも飛び火している。来年のアメリカ大統領選の争点の一つになりつつあるのだ。(続く)

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