子どもの絵本はどう選べばいいのか。92歳で現役保育士の大川繁子さんは「むずかしすぎる絵本はあるけれど、やさしすぎる絵本はない。2歳児に5歳向けの絵本を読んだら退屈するが、5歳児に2歳向けの絵本を読んでもみんな夢中になる。子どもが絵本に興味がないのは、少し背伸びした絵本を選んでいるからかもしれない」という――。
※本稿は、大川繁子『92歳の現役保育士が伝えたい親子で幸せになる子育て』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。
「教育にいい絵本」なんて存在しない
【相談】絵本の選び方を教えてください①
【回答】正解はありません。ただし、絵本にしつけをさせないでね
【回答】正解はありません。ただし、絵本にしつけをさせないでね
「栃木県の保育士で絵本と言えば、小俣幼児生活団の大川繁子先生」
そう言われるようになろうと、これまで一生懸命取り組んできました。
講習会や研修にもうんと通って勉強しましたし、たくさん練習もしました。
そのおかげ……というわけではなく、子どもはもともと絵本が好きなものですが、ともかくうちの子どもたちは1日に何度も、ときには四六時中「大川先生、えほんよんで!」とせがんできます。
そんな「絵本大好き!」な子たちを見ているからか、親御さんからも絵本に関してはことさらたくさん相談をいただいてきました。私も、お話ししたいことがたくさんあるテーマです。
ということで、ここからは絵本に関する相談や質問をまとめていきましょう。
まず、いちばん多いのは「絵本の選び方を教えてください」。
先にハッキリ言ってしまうと、「教育にいい絵本」なんて都合のいいものはありません。いつも言っているのが、「絵本にしつけをさせよう、あわよくば勉強の足しにしよう、なんて思わないでね」。
……ちょっとギクリとしませんか?
絵本とはあくまで、親子で「楽しむもの」です。
「教育にいいかしら」「読書家に育てたい」と下心を持って読むと、子どもにバレてしまいます。
教育熱心でまじめなお母さんほど、絵本を読みながら
「ほら、お花がいっぱい咲いてるわね。赤いお花がいくつ?」
と「テスト」をしたり、読み終わった後に、
「やっぱり兄弟は仲良くしないといけないってことだね。わかった?」
と「道徳の時間」をやりがちです。