ストーリーのない絵本はリズムをつけて読む
でも、自分がそんなことをされたらと思うと……なんだかおもしろくないでしょう。
だから絵本を閉じたら、「おしまい。ああー、おもしろかった」。読みっぱなしでいいのです。
読み方だってそう。正解はありません。
お母さんが楽しんで、好きなように読んでください。
ただ、なかなかむずかしいのが、0~1歳児向けのストーリーのない絵本(『ころころころ』元永定正/福音館書店、など)かもしれません。どう読めばいいのかわからなくて苦手、というお母さんがときどきいらっしゃいます。
でも、こうした絵本、大人はサッパリ意味がわからないけれど、子どもは「そんなに!?」とおどろくくらいキャッキャとおもしろがるんです。子どもの反応を見ながら緩急つけて、高低つけて、リズムをつけて。試行錯誤するのが私は大好きです。
「えーッ、先生、それが苦手なんです」って方もいらっしゃいますが……そういう方は、上手に読もうと気張らなくていいの。
子どもにリクエストされたら、それに応えてあげるだけでいい。
「ママの声を聞かせるだけで意味があるわ」って開き直ればいいと思いますよ。
『しろくまちゃんのほっとけーき』の思い出
【回答】10年以上読み継がれていて、お母さんが好きなものを
絵本に関しては、心に残っているエピソードがたくさんあります。
たとえば、『しろくまちゃんのほっとけーき』(わかやまけん/こぐま社)には二つの思い出があります(1歳児が大好きなこの絵本、1972年発売でおよそ300万部のベストセラーですから、みなさんも読んだことがあるのではないでしょうか)。
一つめが、読み終わった後に子どもに言われた次のひと言。
「大川先生、しろくまちゃんはエプロンを3枚持っているね」
「えっ、ほんとう?」と思って読み返してみると、たしかにそうなのです。
ホットケーキをつくっているときは、オレンジのエプロン。ホットケーキを食べているときは、緑のエプロン。食べ終わって洗い物をしているときは、青いエプロンをしているの。私、20年くらい読みつづけていたのに、まったく気づきませんでした。大人はつい字に目がいってしまうけれど、子どもはやっぱり絵をよく見ているのね、とあらためて感心したエピソードです。