インドには生まれで人を差別する「カースト制」がある。インド政府は廃絶しようとしているが、なかなかなくならない。なぜなのか。社会学者の橋爪大三郎氏は「インドをわかるためには、ヒンドゥー文明の価値観と行動様式を理解する必要がある。カースト制の理由もそこにある」と説く——。
インドで宗教の地位が高い理由
インドは、仏教を通じて、日本と縁がある。けれども、日本の人びとは、インドのことをあまりわかっていない(実は、仏教のことも、あまりわかっていない)。
インドは、めざましく成長中である。遠くない将来、インド経済は日本を追い越すだろう。インド文明を知らないと、掴めるビジネスチャンスも逃してしまう。
そこで、4行でわかる、ヒンドゥー文明の人びとの考え方と行動様式。4行でまとめてみると、こんな具合だ。
ヒンドゥー文明の人びとの、行動様式
(1)まず自己主張する。
(2)相手も自己主張している。
(3)このままだと、紛争になる。
(4)みんなばらばらな法則に従っているので、大丈夫。
(1)まず自己主張する。
(2)相手も自己主張している。
(3)このままだと、紛争になる。
(4)みんなばらばらな法則に従っているので、大丈夫。
インドと言えば、カースト制である。カースト制は、人びとをばらばらにし、接触を最小限にして、紛争を避ける仕組みである。接触を避けるとは、職業を別々にして、なるべく交流しない。結婚しない。穢れが伝染するからと接触しない、などである。
インドには、イスラム教徒もそれなりの人数がいる。ヒンドゥー教徒とイスラム教徒は住むエリアを分け、なるべく交流しないように暮らしている。