化学調味料も無添加も同じ成分

今、問題になっているのは「無添加商法」です。店頭には、保存料無添加、化学調味料無添加などと表示する製品が、数多く並んでいます。

添加物を一般的に使わずに製造する食品で無添加と表示するのは禁じられていますが、実際には横行しています。

また、化学調味料無添加をうたう製品の多くが、食品から抽出した「エキス類」や分解して作った「たんぱく加水分解物」を用いています。これらは、グルタミン酸などうま味調味料と同じ成分を含んでいます。うま味調味料との違いは、糖液などを発酵させて作るか、食品を分解して作るか、という製法です。作り方は違えど、結局は同じものを食べるのに無添加とうたうのは消費者を騙しているのではないか? 個人的には、無添加をうたう企業姿勢に疑問を持たざるを得ません。

消費者庁が設置した「食品添加物表示制度に関する検討会」でも現在、この問題が協議され、「消費者の誤認を招いている」とする指摘が相次いでいます。

「山パンは添加物まみれ」は大きな誤解

食品業界で有名な話があります。「私が家でパンを焼くと、すぐにカビが生えるのに、ヤマザキのパンはカビが生えない。食品添加物まみれに決まっている」と主張した女性に対して、「手作りパンにカビが生えるのは、あなたの台所が汚いからです」と鈴鹿医療科学大の長村洋一教授が一喝した、というエピソードです。

大企業の食品工場では通常、粘着テープで髪の毛など大きなごみを取ったうえで、風を吹き付ける装置の中に入ってカビの胞子なども吹き飛ばしてから作業するのが一般的だ

家庭の台所では、カビの胞子は飛び放題。シンクや調理台には確実に細菌がいます。この女性の台所が汚いのではなく、どの家庭の台所もどんなに掃除していても、清潔とは言いがたいのです。

一方、食品企業、特に大企業の工場は、作業室内の圧力を上げて、外から菌やカビの胞子が入り込みにくいようにしています。作業者は作業着や帽子、マスク、手袋等を身につけ、風でごみやカビの胞子等を吹き飛ばしてから入室し、作業しています。製造後は、毎日掃除や消毒も怠らず、細菌が残っていないか調べる検査も高い頻度で行っています。

山崎製パンのパンにカビが生えにくいのは、こうした環境で製造し、急速冷却してすぐに包装するためです。このような加工食品の実態が、知られていません。