好きでなければ叱る資格なし

たとえばビルの8階とか9階で会議をしているとき、「いますぐ、ここから飛び降りろ!」と平気で言います。本当に飛び降りたやつがいなくてよかったなと思いますけれど(笑)、これはその場で、心のままに叱るからです。

それと同時に、叱る理由をきちんと言葉にしなければいけません。たとえば「お客様のクレームから逃げた」「徹底して原因追求をしていない」とか。これを僕は許しません。

最近もこんなことがありました。ワタミグループはつねに、地域の方々に必要とされる店をつくりたいと考えています。にもかかわらず、地域の方からのクレームが増えているのです。

我々はチェーン店なので店長が交代します。そのときに、商店会の取り決めだとかお祭りへの協賛といったことを、新しい店長がきちんと引き継いでいないというのです。

「店長交代のときに商店会長のところへ挨拶に行っているか? そのときに話を聞いていればクレームなんかこないぞ。最近は自分の店を守ればいいと考えているやつが多い。でも商店会の方々との付き合いも、広い意味では店を守ることだ。仕事の範囲が、サラリーマン化しているんじゃないのか!」

僕は先日の経営会議で、こんなふうに雷を落としてきました。

やはり経営にはリーダーの「気」が不可欠なのです。朝起きて、一度仕事についたら絶対に気を抜いてはダメ。腹の下に力を込めて、息をしないくらいの気迫がないと部下は動きません。

そのうえで、部下たちを上手に戦闘態勢に持っていくのがリーダーの役目です。敵が攻めてくる。逃げたくなる。しかし、おまえは前を向いて戦わないかぎり死ぬんだぞ、ということを言葉で伝える。つまり、追い込むのです。

店長やエリアマネージャー(6~7店を担当)に対しては仕事を与えればいい。数値目標ではなく、あるべき状態を達成せよということです。たとえば「なぜ、あのアルバイトさんは笑顔じゃないの?」という言い方で、何が不足しているかを気づかせます。

いま僕は「追い込む」という厳しい言葉を使いました。しかし、文字どおりに追い込んでいけば相手を潰しかねません。だから冷静さを残し、簡単に潰さないように配慮する必要がある。