世界全体での買い替えサイクルは長期化

9月10日、米アップルがiPhoneの最新モデル(iPhone 11、11 Pro、11 Pro Max)を発表した。アップルとしては、恒例の最新モデルの発表により世界のiPhoneユーザーの買い替え需要の喚起をもくろんでいるはずだ。

ただ、今回の新型iPhoneが、アップルの成長力を押し上げるほどの訴求力を持つかどうかについては見方が分かれている。2017年以降、世界のスマートフォン出荷台数は減少傾向にある。世界全体での買い替えサイクルは長期化しており、需要は飽和に向かっていることがうかがえる。

写真=AFP/時事通信フォト
2019年9月10日、米カリフォルニア州クパチーノにあるアップル本社にて行われたイベントでスピーチするティム・クックCEO

一般的に需要が飽和すると、当該製品の市場では価格競争が進みやすい。すでに、中国のファーウェイなどは中・低価格帯のモデルを投入し、市場シェアを徐々に上昇させている。今年4~6月期、ファーウェイの出荷台数は前年同期比で8.3%増だった。

特に、相対的に多くの販売台数が見込まれる新興国において、中国企業は勢いを増している。そうした状況下、先進国を中心に高価格帯のモデルに強みを発揮してきたアップルが、今後、どのような戦略で成長を維持することができるか。先行きは不透明だ。