ファーウェイは6月に5Gモデルを発売済み

現在、中国では急速にIT先端分野でのテクノロジー開発が進んでいる。特に、ファーウェイのイノベーションは、世界のスマホ市場の様相を大きく変えようとしている。

同社は、低価格かつ十分な機能を搭載したスマートフォンを開発し、ボリュームゾーンである新興国を中心に急速にシェアを高め、世界第2位のスマホメーカーの地位を得た。iPhone 11は5G通信に対応していない。一方、ファーウェイは2019年6月に5G対応型の最新モデルである「Mate20X 5G」を発売している。また中国では中興通訊(ZTE)も5G対応型モデルを発売済みだ。

さらに、ファーウェイは傘下の半導体企業であるハイシリコンを通して半導体生産能力を高めている。この開発力にはすさまじい勢いを感じる。iPhoneとファーウェイの4Gスマートフォンを比較すると、ファーウェイが独自設計した半導体はアップルと同等の性能を有しているとの指摘がある。ハイシリコンは5Gモデムを搭載しAI処理機能を内蔵したスマホ用アプリケーションプロセッサーである「キリン990」も発表している。

ファーウェイは次のフラッグシップモデルである「Mate 30」にキリン990を搭載する見通しだ。その上、同社は来春にも独自OSである「ハーモニー」を搭載したスマホを発表する予定だ。

サプライヤーに中国での集中生産を回避するよう要請

従来、ファーウェイはOSとして米グーグルの「アンドロイド」を用いてきた。しかし、トランプ政権による制裁措置を受けて同社はアンドロイドを利用できなくなる恐れがある。ファーウェイ幹部はオープンソースでハーモニーのアプリや機能開発を進め、アンドロイドに性能は勝るとかなりの自信を見せている。従来にはないソフトウエアやプロダクトを生み出すという点において、ファーウェイをはじめとする中国IT企業の競争力は侮れない。

今後、アップルは新興国を中心としたシェア争いや低価格競争の熾烈化に加え、米中貿易戦争によるサプライチェーン混乱などのリスクにも対応しなければならない。

制裁関税の影響を回避するためにアップルはサプライヤーに対して中国での集中生産を回避するよう要請した。加えて、アップルは原価引き下げのために有機ELディスプレイの調達を韓国サムスン電子から中国のBOE(京東方科技集団)に切り替えるようだ。当面、こうした動きが続くだろう。