「季節はずれの広告」が意味するもの
植物がしおれようが枯れようが、業務には直接は影響しませんが、そうなってしまうまで誰も何もしない会社だということが問題なのです。「誰かが水やりをするだろう」「自分には関係ないことだ」とみんなが思っていて、ほったらかしにされている証拠です。
社内の美観に目配りができるかというのは、自分たちの働く環境への意識、ひいては会社そのものに対する意識のあり方を反映しているのです。
ある程度規模の大きい会社は、社内の清掃も、観葉植物などの手入れも、専門の業者がやってくれます。それは、社員に本業である業務に集中してもらいたいからです。
しかし、「仕事とは自分に任された業務をやることだけだ」と思い、自分たちの働いている環境に目を向ける意識、精神的余裕がなくなってしまうと、その会社はだんだん荒んでいきます。
以前、ある電機メーカーの本社の近くに、夏も過ぎているのに冷房を中心にしたエアコンの広告が掲げられたままになっていました。毎日、社員はみんなその前を通っているわけです。
「この季節にまだあの広告を出しているのはまずいんじゃないですか」と言う人が誰もいないのか、それとも意見があっても広報が動かないのか、いずれにしても大会社なのにお粗末だな、と思いました。
季節のずれた広告を出しっぱなしにしているのは、時間の合っていない時計、月遅れのままになっているカレンダー、しおれた観葉植物と同じことなのです。
そういうところに目が向かず、誰も行動を起こさなくなった会社は、本来の業務に対しても大事なことを見落としていることに気づかなくなります。
その会社は、数年後、本社ビルを手放すことになりました。
会社の将来性は受付で分かってしまう
店舗はサービスの場なので来客に気を配るのは当たり前ですが、オフィスの場合は来客に対して「お客さまである」という意識の薄い会社がけっこうあります。
例えば、受付に誰も人がいなくて、電話が置いてあるような場合に、どこにかけたらいいのかが分かりにくいケース。電話をかけても、呼び出したい相手になかなかつながらないケース。「誰々さんをお願いします」と言って電話を切ってから、待たされるケース。どれもいい気分はしません。
そういうときに、通りがかった社員が「ご用件、承っていますか?」と声をかけてくれる会社と、知らん顔して素通りしていく会社があります。
この対応の仕方で、たちまち会社のレベルが分かります。