2025年には700万人に達するといわれる認知症患者。家族はどんな準備をしておけばいいのか。今回、7つのテーマに分けて専門家に聞いた。第7回は「成年後見制度」について――。(全7回)
▼成年後見制度
トラブル続出、どこに注意して制度を利用するべきか
本人に代わって資産を管理
認知症になると銀行の窓口で手続きができなくなったり、キャッシュカードの暗証番号を忘れてお金が下ろせなくなったりします。家族が本人の代わりに行うしかありませんが、近年、金融機関では本人以外が個人の資産を扱うことを認めず、「やるなら成年後見人になってください」と言われます。
成年後見人は法定代理人として、本人に代わって資産の管理を行うことが認められています。家庭裁判所に申し立てを行って任命してもらいますが、誰を成年後見人とするかは家庭裁判所が決めることで、現状では家族ではなく弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職から第三者後見人が任命されることが多いです。これは親族後見人による財産侵害の不正が多発したためですが、今度は見知らぬ第三者が入ってくることで、家族との間でトラブルが起きるようになっています。ひとつには次のような事情があるからです。