▼遺産相続編
分割協議がまとまる生前対策とは
相続税がかかる場合は、早めに税理士へ
相続は、被相続人が亡くなったその日からスタートする。相続財産は相続開始日にさかのぼって法定相続人に所有権が移るのだ。
「最初にやるべきは遺産の把握です。どのような財産や債務が、どれぐらいあるのか、すべて詳しく調べ、それぞれ評価・計算し、総財産を算出します。次に遺言書の有無も確認します。そして、相続放棄あるいは限定承認(財産の範囲で負債を相続する)は3カ月以内に手続きします」(行政書士の明石久美氏、以下同)
相続を放棄すると、相続権は別の相続人に移る。よくある勘違いのひとつに、父親が亡くなり、母親と息子が相続人になった場合、「母親に全財産をあげたいから」と息子が相続放棄をする例があるという。
「息子が相続放棄しても、母親の相続分が増えるわけではなく、父方の祖父母に相続権が移ります。遺産分割協議書を作成する際、母親の相続分を100%、他の相続人(この場合は、息子)の分を0%とする、いわゆる“ゼロ円相続”と相続放棄は似て非なるものなので注意が必要です」
遺言書がある場合は遺言書にしたがって、遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続人全員が合意した内容を遺産分割協議書にまとめる。そして遺産相続開始から10カ月以内に相続税の申告や納付を行わなくてはならない。