大企業社員はもっとヘッドハンターと会おう
【畑中】「企業は社会の人的資源を預かっているだけ。価値観の多様化やグローバル化の中で、世界中の人材が競争相手や協力者になり得る時代。社会の変化に伴い、社会から求められる価値も変化し、個人の活躍の仕方や必要な組織の能力も変わっていきます。個人と企業にとって、どのような関係が心地よいのか。今後、ますます多様で柔軟な関係が必要になってくると考えます。企業も事業の再構築を繰り返していますので、事業の再構築とともに、どうしても社内で活躍の場がない場合もあります。その場合は、社外で活躍されることが本人、企業、最終的には社会にとって良いことだと考えます。もし自社で人材を活かせていないとしたら、それは社会にとってもマイナスでしかないですから」
【入山】「素晴らしいですね、まさに金言! 畑中さんの見解では、その人の人生が良くなるなら、(会社を去っても)それでいいという見解ですか?」
【畑中】「他の企業で活躍されることは本人にとっても送り出す会社にとっても大きな価値になると考えます。また、自分を見直すきっかけや、社会から求められる人材を知るために、ヘッドハンターと付き合うことも良いことと社員にはお勧めしています。一方で、外の機会に負けないように自社の魅力を上げるように努力をしています」
10人部隊で変革者1人、オタク2人がいいバランス
会場からの質問で、「この先の雇用のあり方をどのように見ているのか?」と、今回のイベントのテーマでもある“人材流動化のその先”について、登壇者の見解が求められた。篠田氏は、自身が監訳した書籍『アライアンス』を手に説明する。
【篠田】「企業と個人がアライアンスの関係になると考えています。それに全員が全員流動するわけではなく、3つのタイプに分かれると思います。その会社のカルチャーを体現して定年までお勤めになる「基盤型」、一定期間ルーチンをこなす「ローテーション型」、そして会社に変革を起こす「変革型」。定年まで勤める前提のキャリア設計を盲目的に否定するつもりはありません。定年で勤める人はなぜ定年までいるのか? いてほしいのか? 意義をきちんと踏まえて働くことが求められると思います」
篠田氏は、雇用するされるの関係ではなく、双方が互いに価値を与え合うという、信頼関係で成り立つアライアンスが増えると話す。
【畑中】「私も全員が変革者である必要があるとは思っていません。新任のマネジャーに、もし10人の部隊を作るんだったら、例えば変革をするような尖った人は1人でいい、きちっと仕事をこなす人が7人いて、オタクみたいな人が2人いると組織はうまく回るのではないか、多様性についてもしっかり考えてほしいと伝えていますので、同じ考え方ではないかと思います」